厚真町チャレンジ応援通信
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2025.12.02

「真の応援とは何か」10年目の厚真町LVSが問い直す、応援の本質-厚真町LVSキックオフレポート

Focus厚真町LVSキックオフミーティング

2025年、厚真町ローカルベンチャースクール(LVS)は10年目の節目を迎えます。

2016年に始まったLVSは、これまで地域おこし協力隊制度を中心に、移住や起業を希望する人をサポートしてきました。もちろん成功したこともあれば、思い描いた通りにいかなかったこともあります。たくさんのチャレンジャーと出会い、様々な軌跡を積み重ねてきました。
そして今年度からは、地域おこし協力隊制度の適用に関わらず「やってみたい」を持つ誰もが参加できるプログラムへと進化します。

そのような10年を経て改めて生まれたのが、厚真町LVSにとって「真の応援とは何か」という問いでした。

厚真町の未来のために、もっとチャレンジの輪を広げていきたい。
ーそのために私たちができる”応援”とはなんだろう?
ーそもそも”LVSでチャレンジを応援する”ということは、どのようなことなんだろう?

2025年10月に行われた厚真町LVSキックオフミーティングでは、今年度LVSの運営チームが集まり、「真の応援とは何か」について真剣に語り合いました。
これまでの歩みを丁寧に振り返りながら、次の10年に向けて“厚真町らしい応援”のかたちを探ったその様子をお届けします。

➣「厚真町LVSと応援について」こちらの記事もご覧ください
厚真町が2025年度から掲げた「応援」って何?「真の応援」について話し合ってみました。

10年で育った「チャレンジの土壌」

今回のミーティングは、厚真町のコミュニティスペース「イチカラ」で開催されました。
議論のお供となるコーヒーを淹れてくれたのは、LVS2024採択者の白上大樹さん。2025年9月から地域おこし協力隊として着任し、焙煎所とギャラリーを併設したコーヒーショップの開業準備を進めています。
香ばしい香りが会場を包むなか、和やかに10年の歩みを振り返る時間が始まりました。

厚真町イチカラで行われたキックオフミーティング

これまでのLVSに携わってきた厚真町役場のメンバーはこう話します。

小松 自分自身もLVSに育ててもらっていると感じます。参加者が自分のやりたいことを実現していく姿を見るのは、本当にうれしいですし。LVSが、チャレンジしたい人の“最初の一歩”を支える場になればと思っています。

 LVSは、チャレンジの場であると同時に、地域の“チャレンジの土壌”をつくる営みだと感じます。関わってくれた人たちの思いや行動が、この町の土壌になってきている。これまでいろいろなことをしてきましたが、もっと町民の皆さんにも一緒に喜んでもらうことを目指したいですね。

昨年のLVS卒業生として、白上さんもこんなことを語ってくれました。

白上 厚真でチャレンジしたいと決めた理由の大きな部分は人です。自然が豊かな場所はたくさんあるけど、その中でこういう取り組みと熱意のある人がいるということに引かれてきたというのが一番。それを含めて厚真は盛り上がっていく地域なのではないかと思うし、自分もその役割を担いたいと思っています。

それを受けて、LVSにメンターとして関わる岡村充泰は、厚真町の特異性をこう表現します。

メンター 岡村充泰

岡村 厚真の魅力の源泉は“人”なんです。役場の皆さんの熱意から始まり、LVSの10年ができて、町全体の土壌をつくっている。そんな”人”がちゃんといるからこそ、他ではまねできない関係性が生まれているのではないかと。

 そうですね。僕は他の自治体にも関わらせてもらっていますが、こういった事業が10年続くというのは本当に特別なことです。続けるということに必要なのは、人が想いを耕し続けることなんだと思うんです。10年も続けられるのは、そうして土壌を作ってきたからこそ。でも、ときには“雨に洗われる”ように、初心に帰ることも大切かもしれませんね。

「真の応援とは」ー正解のない問いを考えて

LVSで長年チーフメンターを務めている勝屋久が、こんな問いを投げかけました。

チーフメンター 勝屋久・勝屋祐子

勝屋 厚真町の役場の人たちは本当に魅力的で、リスペクトしています。
でも、人間だからこそ、うまくいかないときもある。そんな時に、つい相手の言動に「なんだよ」と思ってしまうこともあるでしょう。それでも、応援できますか?僕がいま自分にも問いたいのは、そこなんです。
LVSは“助けを求める人”のためのプログラムではないと思います。本気で事業を成長させたい、自分を変えたいという人がチャレンジする場です。
そういう人に対して、私たちが「自分の期待どおりに動いてほしい」とか「もっとこうすればいいのに」と思ってコントロールしようとした瞬間に、応援とは少し違うものになってしまう。
そうした“思い通りにしたい”なんていうものを超えたところにこそ、次のLVSの方向性が見えてくるのではないかと思います。

祐子 何かしてあげるとか、してもらいたいとか、そんな関係は対等じゃないですよね。応援する側、される側──本当はそんな立場の違いはないと思うんです。みんなでお互いの人生を応援し合っている。
人と人との関わりは、どうしても面倒だと感じることが出てきたり、遠慮してしまったり、良いこと、良くないこと、様々なことが起こることは当たり前です。それでも応援すると決めたら、どんな時でも相手がどうであれ関わり続ける、共に在ろうとする姿勢が大切じゃないかと思います。
それには私たちの胆力が求められますが、これはとても素晴らしいチャレンジだと思います。

自分の内側と向き合いながら、人と並んで歩く在り方ーその実感が、場に浸透していきます。
そんな言葉を受けて、それぞれが自分の「応援」を語り合いました。

江川 役場職員も応援者でありながら、誰かに応援してもらうとうれしいんです。全員が一方的な関係じゃない。誰かに応援されると頑張れるし、また誰かを応援したくなる。その循環ができていけば、もっと町は楽しくなる気がします。

小松 LVSやこれから始まるIPPOカフェは、なにか上手くいくかもしれないともやもや考えているのを一緒にやってみようよ、と言える場所ですね。そういう想いを持つ人にどんどん参加してもらいたいですし、一緒に面白がれる、楽しく実現していくことを見ていけると思います。

メンター 岩澤康一

岩澤 LVSは今うまくいっている人だけの場じゃないですよね。これから楽しくなれるかもしれない人、まだ芽が出ていない人も含めて、その可能性を信じて関われるのがLVSの良さだと思います。

牧 たしかにその人の中にある可能性を面白がるって、すごく大事ですよね。誰かの”楽しさ”や“ときめき”を見つけて、一緒に面白がる。人を育てる応援って、そういうことなのかもしれません。

ー それぞれの立場から、様々な意見が交わされていきます。
そんな中で改めて「真の応援とは何か」ーこの問いを振り返ったときに出てきたのはこんな言葉でした。

大坪 自分の原点は、自分を育ててくれた地域が大好きだということなんです。地域に心理的な安全性があるから、お互いに自然に接することができて、押し付けがましくなりません。
もしかしたら「応援しているんだ」と自分が思った瞬間に自然体ではなくなって、押しつけがましくなってしまっているのかもしれません。「真の応援とは何か」という問い自体も押しつけになってしまっている。
これまで話してきて、応援とは絶対こういうことだ、なんていう答えはありません。でも自分を理解することが、そのまま応援につながるのではないかと感じています。それぞれがいかに自然体で、その人と共に在ることができるかということですね。
”誰かのために応援をする”のではなく、自分が整い、自然体で人と向き合うこと。「こうあるべきだ」という正解を求めるのではなく、一緒に“楽しい”を見つけながら、その瞬間を信じてみること。
どれも簡単に答えが出るものではありません。それでも、その“答えのなさ”を恐れずに問い続け、共に考え続けて歩んでいく力こそが、LVSが10年かけて育ててきた“応援力”のひとつなのです。

ここから次の10年へ

今回のLVSキックオフミーティングの問い「真の応援とは何か」は、これまでの過去を振り返るためのものではなく、次の10年を歩き出すためのスタートラインとなります。
この問いが未来の厚真町にどのようにつながっていくのか。話題は厚真町の未来についての話に広がっていきました。

宮下 子どもたちが巣立っていく上で、厚真は良かったな、帰ってきたいなっていう町であってほしいとは思いますね。いま厚真にはおもしろそうな人、楽しそうな人も増えているので、そういう人に子どものころから関わる機会を作りたい。
令和9年度には新しい庁舎が完成する予定です。そこにおもしろい起業家が集い、新しい価値を生み出す場所になって、子ども達も日常的に来れるようにしたい。LVSが町の日常でいつでも触れられる、標準装備としてインストールされているようなイメージがあります。

宮 Uターンで厚真に帰ってきた人になぜ帰ってきたのか話を聞いたら、「自分の親が厚真で楽しそうに暮らしているから、自分もそうやって暮らしたいなと思って」と言われました。そうやって厚真ならこの先も楽しく暮らせるかもと感じられることが、結果として人を呼ぶことになるのではと思っています。そのためには、まずここにいる人がもっと楽しむことです。そして新しく来た人も楽しく生きるのをともに楽しむ。
LVSや起業に限りません。町の様々な場所で、いろいろな幸せが生まれそうだなという気配が感じ続けられる町、将来も生まれ続ける町。そんな風になってほしいと思います。

そして最後には、それぞれがいまの気持ちで「応援とは」というボードを書き出しました。
このレポートの中にはとても納まりきらない程の様々な想い。それがたっぷり詰まった言葉が並んでいます。

勝屋 ご縁のある人よりよき人生になるように LOVE♡
祐子 どんな時も共に在る♡ LOVE♡
岩澤 相手に関与すると決めたら、自分がときめくまで責任を持って関与する行為
岡村 見守る 寄り添う 共働
大坪 相手を尊重し、自然体で相手に接すること
宮下 共に挑む 共に育つ覚悟
江川 ありがとうを伝えられる厚真町
 喜び合える関係性
小松 ときめく未来に向かって今をともに楽しむこと
小笠原 楽しむパッション
 一緒に面白がる結果生まれるもの
道明 あなたの見てみたい世界を、あなたが思い出せることを信じる
山口 真の応援は一緒に楽しむ・苦しむこと
小倉 共に楽しむ、共に生きる愛

全員がそれぞれの応援の言葉を掲げました

そうして幕を閉じたキックオフミーティング。
会場には、10年分のチャレンジと応援の記憶が静かに息づいていました。
これまでLVSのまわりには、チャレンジする人、見守る人、つなぐ人、支える人──いつも“人”がいました。
その想いが重なり合い、厚真町という町の“チャレンジの土壌”を育ててきたのです。

その土壌の上に、今また新しい芽が顔を出そうとしています。
誰かの「やってみたい」が芽吹き、「応援したい」という想いがその芽を照らす。
そして芽の成長を感じながら、また別の誰かが自分のチャレンジを思い出す。
応援とは、そんな循環のなかで日常のように続いていく営みなのかもしれません。
「応援とは何か」──その問いを持ち続ける力こそが、LVSが育ててきた応援力であり、次の10年を照らす灯です。

厚真町LVSはこれからも、その芽吹きを見守りながら、未来を耕していきます。


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取材・執筆:株式会社エーゼログループ
撮影:岡田和也(写真屋 橙)

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