
出産や育児などを理由に「今、自分らしい仕事や活動ができていない」と悩んでいる人はいませんか。
または、そのずっと手前で「そもそも私らしさって、何だろう……」と思っている人もいるかもしれません。
今回紹介する女性二人も、かつてはそうでした。
「Briller.」の代表でイメージコンサルタントのYUKIさんとして活動している尾形裕貴さんと、図書館司書の資格取得を目指して勉強中の北川瞳さん。
厚真町に住み、子育てや家事に忙しい日々をおくる一人だったのです。
でも彼女たちは厚真町ローカルベンチャースクール(LVS)に参加したことで、自分に向き合い、今、歩み始めています。
子育て中は、自分と向き合う時間や自由が少ない
――お二人とも子育て中で、ママとして知り合いだったそうですね。LVSに参加する前は、どのような想いを抱えながら暮らしていたのですか。
尾形:一人目を産んだ後、初めての育児で余裕がなく、家に引きこもりがちだったんです。当時はママ友もいなくて、孤独を感じていました。夢を諦めかけていたんですが、子どもが大きくなったことや、震災や身内の死をきっかけに考えたこともあって、趣味の時間をつくって自分を大切にするようになったんです。
また、いつもポジティブで、自宅で仕事をしている行動派のママ友ができたことも刺激になって、「行動すると自信がついてくるんだな。私はできない言い訳ばかりしていた」と気づきました。子どもたちのために良いママでいなきゃ、と依存していたんです。長年の夢だった、パーソナルカラー診断の資格をとろうと思えるようになりました。
北川:私は保育士として働いていたのですが、自衛隊員だった夫の転勤で全国各地を転々とした後、北海道に戻ってきました。子どもが小さいため保育士への復帰は難しく、週に3回のパートの仕事と、育児、家事の毎日で、同じ日常に物足りなさを感じていました。何かをしたいという思いから、文房具やシールを扱うネットショップを始めて、今も運営しています。

――LVSは、町民も参加することができます。どのような経緯で参加したのでしょうか。
尾形:パーソナルカラー診断の資格を取得するため、LVSを受ける直前の2024年夏に東京・大阪・名古屋へ研修に行って勉強し、2つの資格を取得しました。トータルで2週間も家をあけたんですね。子どもがいる状況で好きなことをするには、一人称だけでは考えられないし、勇気もお金も必要で、壁がたくさんあったんです。研修のときは、夫や実母に協力してもらいました。
その研修に通って、「パーソナルカラー診断を通じて女性が自分と向き合う時間をつくりたい。自分の似合う色を知ることで顔が明るくなる感動を伝えたい」という想いは募りました。「起業したい」と考えているときに、ネットでLVSの存在を知って、厚真町の職員さんやエーゼログループの山口和秀さんに出会い、背中を押してもらいました。
子どもがいるのに起業するって、以前は「周囲から反対されること」だと思っていたんです。でも、山口さんたちが背中を押してくれて「やってもいいんだ」と決心でき、LVSに参加しました。遠方まで行かなくても、厚真町内で参加できるのがとてもよかったですね。
北川:私は厚真町の職員をしている夫を通じてLVSを知りました。私や夫が「自分がしたいならやりなさい」と子どもたちに言い続けてきたせいか、長男は自分から「やってみる」というタイプなんです。長男に私のほうが感化されてLVSに出てみようかなと思えました。将来的に自分のビジネスを持ちたいと考えていたので、最終的には、エーゼログループの佐藤道明さんに背中を押していただいて、LVSに参加したんです。

自分だけのために何かをしたことが久しぶりだった
――LVSでどのような学びや気づきがありましたか。
尾形:驚いたのは、ユニークな方たちがたくさんいらしたことです。固定概念や常識が良い意味で崩れていきました。起業に対して否定するような人はいなくて、みなさんに応援してもらえて心強かったです。メンターの方たちから、集客のためのアプローチ方法など自分にはなかったアイデアをいただけて、参考になりました。
LVSを機に、その年にメンターを務めていた北海道よろず支援拠点の鈴木俊介さんと知り合うこともでき、それから無料相談に行くようになりました。マーケティングに詳しく、アイデアが多いので勉強になっています。今でも月に一度、無料で相談をしています。私の活動場所として服屋さんを紹介してくださって、人脈も広がりました。
北川:どういう場なのか、はっきり分かっていないまま参加したせいか、場の雰囲気に一瞬圧倒されました(笑)。でも、役場職員さんや起業のサポートをされているいろいろな方とお話しするうちに、自分の考えがまとまっていきました。
子育てをしていると自分自身のことを考えたり、言語化したりする機会ってあまりないんですよね。LVSには、子どもたちを一時的に預けたり、その場で待たせたりして、時間をやりくりして参加したのですが、自分だけのために何かをしたことが久しぶりで、「やりたいな」という気持ちが高まりました。
メンタリングを待っている間に参加者どうしでも話したのですが、志の高い意欲のある人がたくさんいらっしゃって、刺激になりましたね。

歩み出した私たちと、変わった家族
―― LVSの後、今はどういう段階にいらっしゃるのですか。
尾形:2025年4月に起業しました。その時期に厚真町の起業化支援事業補助金という制度に申請して、サポートいただいています。
事業はイメージコンサルティングです。主にセレクトショップとコラボレーションして、パーソナルカラー診断とショッピング同行のサービスを提供したり、いろいろなマルシェへの出店活動もしています。一つのマルシェに出店すると、別のマルシェから声をかけていただけて。動き始めると、同じ想いをもつ方とどんどんつながっていけますね。
お客さんが自分の似合う色や服を知ることで感動してくださったり、購入してくださったりすることにやりがいを感じています。自分の時間を大切にするのは息抜きになりますし、きれいになっていくと自信も取り戻せると思うので、女性を笑顔にしていきたいです。
マルシェだと短時間の仮診断なので比較的安価なのですが、本診断は高価だと思われるのか、なかなか本診断やリピートにつながらない課題はあります。でも、パーソナルカラー診断は北海道内で活動している人が少ないので、口コミを広げていきたいです。イメージコンサルタントの他に2つ仕事をしているので毎日忙しいんですが、自分で選んだ道だから、とても楽しいです。

北川:私は通信大学で図書館司書の勉強をし、資格取得を目指しています。主に、仕事が休みの日に勉強しています。あとは朝の時間帯に教科書を読んだり、気持ちがのった土日にレポートを書いたりしていますね。順調にいけば2026年3月に修了予定です。
長男が高校受験を控えているので、新生活が落ち着く2026年春以降に次のステップを考えようと思っています。図書館で児童サービスを担当する司書に興味があります。児童書を選書してコーナーをつくったりしてみたいんです。
もっと先の将来では、町内にできる予定の文化施設で働きながら、保育士の経験を活かした絵本を扱うお店を開きたいとか、厚真町のいいものを集めたセレクトショップもいいなとか、やりたいことがたくさんあります(笑)。これまで子育てに追われて、直近のこと、例えば子どもの進学ばかりを考えていましたが、最近は自分の5年後、10年後のことを考えるようにもなりました。
――北川さんは2025年12月に開催された「IPPOカフェ」に参加したそうですね。
北川:相談者として参加させてもらったんです。2024年のLVSに参加して地域おこし協力隊に採択された、渡辺英人さんに来ていただき、相談しました。渡辺さんは店舗経営のご経験があって、商品開発もお得意なんです。
「小さい成功体験が背中を押す」「今後にとって実りになるものを探したほうがいい」などのアドバイスをいただき、「個人事業主になって一歩踏み出したい」と考えるきっかけになりました。
LVSからIPPOカフェにつなげてもらえて、自分の思いを語る(LVSの)メンタリングでは聞けないような実務的なことを今回聞けました。自分のことをより言語化できてとてもよかったです。なかなか自分の時間がとれず、踏み出す勇気がなかったので、LVSやIPPOカフェに参加したことが私にとっての一歩になりました。

――ご家族の変化を感じていますか。
尾形:家族が家事や仕事に協力的になって、変化を感じています。マルシェの出店に子どもと一緒に行くこともあるのですが、接客を手伝ってくれたり、率先して道具を片付けてくれたりして、本当に助かっていますし(笑)、そういう経験が子どもの成長にもつながっていると思います。私が夢を追いかける姿を応援してくれるようになりました。以前より今のほうが子どもたちと仲がいいです。子どもたちにもいつか夢を追いかけてほしいですね。
北川:長男は、私が勉強していると「俺も勉強するわ」とか「(下の子を)見ておくわ」と言ってサポートしてくれています。下の子どもたちから、テスト中に「かぁちゃん!」と呼ばれることもあるんですけど(笑)。
――最後に、以前の自分と似た境遇にいる人たちへのメッセージをお願いします。
北川:LVSって何なのか、ふつうの人が出ていいのか、分からないと思うんです。「町民でも出ていいんですよ。自分のためにいつもと違うことをしてみたら、ちょっと変わることがあります。やってみたら少し楽しくなるかもしれません」と伝えたいです。
その一歩が大変だと思うんですけど、私の場合は踏み出してみて、気持ちも何もかも軽くなりました。子育てや仕事だけではない、自分だけのことをやるのは、心の栄養になります。LVSは起業したい人がメインで、起業すらも悩んでいる場合や、「どういうことがしたいか」がまとめきれていない人にはIPPOカフェがおすすめです。
尾形:今振り返ると、一人目を産んだ後、子どもとの時間しかなくて、いろんな人をうらやましがっていたなと思うんです。インスタや周囲のお母さんをみて「どうしてあんなにきれいなんだろう」と愚痴ばかり言っていました。そのときは、うらやましいから妬んでいるという気持ちに気づいていませんでした。
忙しいお母さんこそ、自分に向き合う時間があれば、思い描いたところに立つことができるんだよ、と知ってほしいです。私にとっては、そのきっかけがLVSでした。今は一歩踏み出せた自分に自信をもてるようになりましたし、心の余裕もできました。
――お二人のご活動、応援しています! お二人のように、LVSやIPPOカフェを通じてやりたいことにチャレンジできる方がまちに増えていくといいなと願っています。ありがとうございました。
厚真町は、「自分らしいチャレンジ」を応援しています。
2025年に開催されるLVS2025は、2026年1月4日(日)までエントリーを受け付けています。町民、町外に住んでいる方、ともに参加が可能です。
興味がある方、参加を検討している方は「ローカルベンチャースクール」をお読みください。
ご質問などは、お気軽に「チャレンジ相談窓口」からお問い合わせください。

取材・執筆:小久保よしの
撮影:三戸史雄
写真提供(LVS、IPPOカフェ):株式会社エーゼログループ
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