厚真町チャレンジ応援通信
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2025.11.06

「やってみたい!」。厚真町にはそのチャレンジを実現していける仕組みがある。

Focus小松美香、山口和秀

前回の記事「厚真町が2025年度から掲げた「応援」って何?「真の応援」について話し合ってみました。」では、応援とは何なのか、運営メンバーのみんなで考えました。

今回は、個人や企業などのさまざまなチャレンジを実現していける、まちの仕組みや姿勢について紹介します。

話を聞いたのは、厚真町役場のまちづくり推進課・政策推進グループ主査の小松美香(こまつ・みか)と、「厚真町ローカルベンチャースクール」などの取り組みや当サイトの運営をしている株式会社エーゼログループ厚真町支社の山口和秀(やまぐち・かずひで)です。

話が進むうち、各応援メニューや仕組みそのものを支えている、厚真町の信念が見えてきました。“厚真町らしさ”をぜひ受け取ってください。

2025年度のLVSは、参加者の幅が広がった

――2025年度から「厚真町ローカルベンチャースクール(以下、LVS)」に変更点がありました。これまでLVS内で行われていた地域おこし協力隊になるための選考会が分離され、「ローカルベンチャー選考会」として別で実施されます。その意図は何でしょうか?

小松:これまでのLVSは「地域おこし協力隊制度の活用」が前提だったため、選考会を受けていただくことが必須でした。でもこれからは、希望に応じて選択できるようになります。「ローカルベンチャー選考会」の対象は、起業型地域おこし協力隊の希望者と、協働型地域おこし協力隊を希望する事業者になります。

この変更によって参加者の幅が広がりました。協力隊制度を活用できない町内の方、協力隊制度の活用を必要としない町外の方が分け隔てなく受け入れできるようになったんです。例えば、自力で起業する方や、事業承継などで事業をすることが決まっている方なども参加できるようになりました。特に町内の方々にもっとLVSを活用していただきたいと考えていて、町内からのチャレンジや応援が増えることを目指しています。

まちづくり推進課・政策推進グループ主査の小松美香

山口:これまでのLVSは2泊3日で行う、その3日目が選考会でしたが、選考なしの2泊3日になったことで、参加者にとってより純粋な学びの場になります。メンターたちにとっても、参加者をより純粋に応援できるようになると考えています。

でも、地域おこし協力隊を目指す方がLVSに参加して、メンタリングなどを通して自分の事業プランを整理し、アウトプットする場は必要です。そこで選考はないものの、最後に事業プランを発表していただき、それに対してメンターがフィードバックを行います。これも参加者をより応援するための変更です。

株式会社エーゼログループ厚真町支社の山口和秀

――LVSに参加すると、どのようなことが得られると言えるのでしょうか? いろいろな段階の方がいるでしょうし、個人の状況によるところはあるかもしれませんが。

小松:LVSの特徴の一つが、メンタリングだと思います。メンタリングとは、想いや事業プランをじっくり聞き、助言をしたり、問いかけをしたりして対話することです。多様な経営者などで構成されたメンターが、参加者一人ひとりの人生に本気で向き合う時間です。

自分の言葉で発し、メンターから質問や意見が返ってくることで、事業プランをより整理できます。どういう想いでやるのかといった根本的なところも深掘りされ、整理されていくと思います。トータルで丸一日ほど、時間をかけて複数のメンターと話せますので、いろいろな視点から事業プランを見つめ直すことができるのは、一人ではなかなかできない体験だと思います。

――そんなに長時間、メンタリングを受けられるんですね。

山口:はい。メンターは事業プランのアドバイスにとどまらず、参加者の経験やスキルを棚卸しながら、目標を実現するために必要なことを頭と心の両面から探ります。参加者はそのプロセスを通して、次の一歩につながる具体的な助言や、自分自身で気づきを得ることができると思います。

小松:LVSの利点が、もう一つあります。LVSには厚真町を拠点に事業をしたい、いろいろな方たちが参加されるので、参加者どうしのつながりもつくれます。他の参加者の事業プランを聞いて刺激を受けたり、自分のプランを振り返ったりできると思いますよ。起業後には大変なことがあるかもしれませんし、LVSの仲間に相談したり、協力し合ったりすることもあり得ると思います。

LVSでの様子

――LVSの雰囲気を少しでも伝えられればと思っているんですが、これまでにどのような方が参加したのでしょうか。

山口:地域で実現したい夢を持っている人、やりたいことがあるけれど具体的にどんなことから始めたらいいか分からない人、やりたいことと事業が結びつかない人……でしょうか。

小松:そうですね。もう少し具体的にお伝えすると、例えば新規就農された方が「今度は6次産業化を目指したい」と参加されたり、町民の方が「厚真町でやってみたいことがあるが、どうしたらいいのかわからない」と参加されたりしました。町外在住の経営者の方が「厚真町で事業をしてみたい」と参加されて、その会社の社員さんが地域活性化起業人になられたこともありました。

山口:あと、やりたいことがたくさんあり過ぎて整理できていない方が、メンタリングを受けてやりたいことがある程度絞られ、整っていくケースも何度かありましたよね。

印象的だったのは、「自分はこれがやりたいんだ」と意気込んで最初のプレゼンをした方が、その後のメンタリングを通じて自分のやりたいことや自分の気持ちと向き合い、「自分が本当にやりたかったのはこれではないんだ」と気づかれたこともありました。その後、違う地域で、やりたいことで起業されたんですよね。そうやって気づきがあって、結果として自分らしい選択ができたということが、LVSらしいと感じます。

それは、メンターたちが参加者の幸せを考えて向き合っているからこそだと思うんです。私がLVSに関わり始めたとき、運営側がただ「厚真町に来て欲しい」というスタンスではないことにびっくりしましたね。むしろ「地域のために頑張ります」とは思わないでください、というのが基本的なスタンスで。それだけだとうまくいかなくなったときに、「自分は地域のために頑張ったのに」と人のせいにしてしまうかもしれません。自分事として「自分のためにやります」というほうがいいんですよね。

小松:そうですね。厚真町として「厚真町のためにやってほしい」と求めているわけではないんです。

山口:その人がやりたいことをやって幸せになった結果、地域に何か貢献することがあれば、という。

小松:そうですね。「地域のために」が一番先に来てしまうと、本人の思いが見えなくなってしまいますから。

一人ひとりがまちをつくるからこそ、チャレンジを応援したい

――厚真町にはLVSやローカルベンチャー選考会をはじめ、IPPOカフェ、複数のタイプの地域おこし協力隊、各補助金、町民制度など、応援メニューがたくさんあり、小さな一歩から大きなプロジェクトまで、さまざまなチャレンジを応援していますよね。どうしてこんなに用意されているのか、お聞きしたいです。

小松:みなさんの「やってみたい!」という気持ちやチャレンジする思いを大切にしたいからです。町内外、大人も子どもも関係なく、チャレンジしたいという気持ちを応援したいんです。いろいろなチャレンジャーが増え、事業者も増え、事業が大きくなれば雇用を生んでいき、厚真町でいろいろな働き方ができるようになります。

山口:そうなることによってまちが元気になり、持続可能になって、まちの未来がつくられていくのだと信じているんだと思うんですよね。ただ「人口が減っているからどんどん移住してください」と打ち出しているわけではない。本気でチャレンジする人の周囲には、同じようにチャレンジしたい人が集まりやすいものです。そういう人と人の連鎖を生み出すことで、まちの未来がつくられていくと信じているからこそ、チャレンジを応援するまちになっているんだと思います。

小松:そうですね。一人ひとりがまちをつくっていくものだと考えていますよね。

――応援メニューをどういう人が使っているのか、教えてもらえますか。

小松:例えば起業化支援事業補助金は、活用している人の6割ほどは女性です。子育てが一段落したころ、以前からやってみたかったことを始めるケースが多いようです。新規事業開発支援事業補助金は、農業をされていて新たに6次産業化をしたい方が設備投資に使うパターンが多かったように思いますね。

山口:LVSに参加した方が、起業化支援事業補助金の後に新規事業開発支援事業補助金を活用し、その後、協働型地域おこし協力隊制度も活用されたケースもありました。

――そうやって各制度を組み合わせて、ステップアップしていけるのですね。

小松:はい。起業化支援事業補助金は他の制度と組み合わせて活用している方が多いんですが、同時に使うことはできないものもありますので、一つが終わってから次にまた別の何かを活用する流れが多いです。制度ごとに特性がありますので、事業規模が次の段階に進むとき、新しい制度を使う方が多いと思います。ただし、補助金関係のものは、すぐに事業を辞めたりすると返さなくてはいけない場合はあります。

山口:そういった条件などは「チャレンジ相談窓口」からお問い合わせいただければと思います。「自分はどの応援メニューが適しているか分からない」というときにも、お問い合わせください。

たとえ失敗しても「いいチャレンジだったね」という応援体制

――2025年秋から始まる「IPPO(いっぽ)カフェ」についても教えてください。

山口:これまでは移住を前提にした取り組みが中心だったのですが、まちの人を応援したいという思いがあります。そこで「実は、こんなことやってみたいんだよね」と、お茶を飲みながら気軽に、ざっくばらんに話せる場をつくろうと思いました。内容は何でもいいんです。例えば「お祭りにお店を出してみたい」「特産品をつくってみたい」とか。子どもでも、何歳でもかまいません。

名前の由来は「一歩=IPPO」。誰かが一歩踏み出す姿を見て、「自分も何かやってみようかな」と別の誰かの心が動くようなこともあるかもしれません。そういうあたたかな連鎖が生まれる場になったらと考えています。

第1回は2025年11月に開催予定で、月に一度行う予定です。場所は、「イチカラ」という、北海道胆振東部地震後にクラウドファンディングによってオープンしたコミュニティスペースを予定しています。

――出会ったり、語り合ったりする場だということですね。

山口:そうですね。話せる場だと期待していただけたらと思います。やりたいことを実現するためにどんな応援が必要なのか、一緒に考えたいんです。それがお金なのか、場所なのか、ものなのか、仲間なのか。もしお金が必要なのであれば、「はい、お金」って渡すような応援方法ではなく、その集め方から一緒に考えて応援するようなやり方を考えているところです。

小松:「IPPOカフェ」に限らず、その人に合った応援の仕方ができたら一番良いことですよね。山口:応援する手段はお金がすべてではないですよね。あくまでも一つの手段であって。チャレンジ応援とは何なのかを、まちが問い続けて追求しようとしています。たとえ失敗してしまっても「いいチャレンジだったね」という声が聞こえてくるような、まちの応援体制があると感じています。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

――「その人に合った応援の仕方」、いいですね。まちのあたたかい雰囲気のなか、いろいろなチャレンジが生まれていくといいですね。ありがとうございました。



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編集・取材・執筆:小久保よしの
撮影:岡田和也(写真屋 橙)
写真提供(LVS):株式会社エーゼログループ

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